我が国では、歴史的には、たびたび溶岩流災害が発生しています。火山噴火により溶岩流が発生した際には、人命と社会資産を守るために何ができるのか?何をすべきか?これらを整理し事前に備えておくことはとても重要なことです。一方、近年は、大規模溶岩流により社会資産に大きな影響を与えるような経験をしていません。
ハワイ諸島は、火山噴出物等により形成されています。その中でも米国ハワイ島は、現在、マントル内の上昇流の発生するホットスポットエリアに位置し、近年も噴火により大量の溶岩流がたびたび流下しています。その中でも2018年の噴火では、住宅街(であるレイラニ・エステート(Leilani Estates))からも火口が現れ、総流出量としては200年に一度の規模の溶岩流であったにもかかわらず、関係機関の連携により溶岩流発生を予知・予測・認知し、的確に住民が避難したことにより、死者の発生しなかった貴重な成功事例となりました。この経験は我が国の溶岩流防災の参考となる教訓を得られる場であると考えられます。
そのため、観測調査や避難対策について、火山防災のために行政が(あるいは住民が)どのように認識・対応したのかを明らかにするために、行政機関及び住民に対してヒアリングと現地視察を実施することとしました。本稿では、すでに報告されている内容との重複を極力避けて、記述したいと思います。
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(※こちらは、機関誌『sabo』Vol.128に掲載した内容になります。)