理事長挨拶

砂防・地すべりの技術の向上と土砂災害軽減への果断な取り組み

 砂防・地すべり技術センターは、砂防、地すべり対策、がけ崩れ対策等に関する調査、研究及び技術開発を行って、砂防等の技術の向上を図るとともにその成果を広く社会に提供することにより国土の保全と災害の防止に貢献し、もって国民生活の安定に寄与することを目的とし、財団法人として昭和50年(1975年)7月29日に設立されました。そして、平成24年4月1日に一般財団法人に移行となり現在に至っています。

 当センターは名称にあるとおり砂防・地すべり等の『技術』に取り組む組織です。これまでに砂防計画、地すべり防止計画、火山砂防計画、ハザードマップの開発、数値シミュレーションの開発、鋼製砂防構造物の設計便覧の刊行等多くの技術成果を生み出し、現場の土砂災害対策に活用されてきました。一例をあげますと、平成2年の雲仙普賢岳の噴火を契機に当センターで作成した火山ハザードマップは火山防災に非常に有効な資料となり、今では全国各地で作成され、広く自治体で活用されています。

 土砂災害には、土石流、地すべり、火山泥流、土砂・洪水氾濫(土砂の流出により河床が上昇し氾濫する災害)など多様な現象がある他、未だ不明な部分もあり、調査研究すべき課題は多くあります。例えば、土砂・洪水氾濫の対策に用いる遊砂地を効率的に計画する手法などは積極的にとりまとめることが必要と考えています。

 また、民間においても技術の開発が進む昨今、これらを対策にどう活用していくか、さらに気候変動や社会構造の変化も踏まえた対策の改良も課題になります。例えば、この10年くらいの間にネット系の製品や鋼製の小型の施設が製品化されています。当センターでは民間から申請された新しい製品の安全性や適用範囲を確認し、証明を発行する建設技術審査証明事業を実施していますが、その役割も今後益々大きくなると思っています。日々現場で生じる課題に対し、技術支援の業務も行っています。

 これらの調査研究や事業を行っていくために、①人材の育成、②技術開発および③財政基盤の強化が必要であることから、中期ビジョンを作成し組織の強化を図っています。また、高度な研究実績をお持ちの有識者に研究顧問に就任いただき、御支援をいただいています。そして、2025年に創立50周年を迎えることから、改めて中期的な計画を策定し、調査研究や技術開発に計画的に取り組んでまいります。

 当センターは、このように職員全員が砂防の技術に関する業務を行っています。職員一同、日々研鑽に努め、これまで蓄積されてきた技術に新たな技術開発を加え、 社会に広く還元する活動に尽力する所存でございます。

 今後とも関係各位の尚一層のご指導・ご鞭撻のほど宜しくお願いいたします。

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