砂防ソイルセメント施工便覧 過去の質問・回答

砂防ソイルセメント施工便覧 過去の質問・回答

    便覧の内容をフォローアップするために、便覧の発行以降に寄せられた質問とその回答を公開します。回答は、施工事例や研究実績を基に作成しています。今後の砂防ソイルセメント活用に際して、ご参考としてください。

<質問(1)> 計画(INSEM、ISM)
 INSEM、ISMの最大築造可能高はどれくらいでしょうか?またハイダムなど構造物の高さが高くなる場合の留意点はありますか?
<回答(1)>
 構造物が高くなる場合は、施工時の動荷重(締固め時の振動荷重など)に対しても安全性を確認する必要があります。
<質問(2)> 計画(INSEM、ISM)
 砂防ソイルセメント工法を用いた場合の法面の緑化について、事例等はありますでしょうか?
<回答(2)>
 これまでの施工事例においては、砂防ソイルセメントの表面に直接緑化対策がされた事例はほとんどありません。
<質問(3)> 計画(ISM)
 ISM工法も低強度(目標強度レベルⅠ、Ⅱ)での使用は可能でしょうか?
<回答(3)>
 目標強度0.5N/mm2~3.0N/mm2での施工実績があります。
<質問(4)> 設計(INSEM、ISM)
 凍結融解に対する対策を外部保護材以外でどのようにすればよいか教えてください。
<回答(4)>
 凍結融解を受ける表面部分に凍結深以上の厚さの余盛分を設け、設計上必要な構造物断面部分は凍結融解が起こらないようにする必要があります。
<質問(5)> 設計(INSEM、ISM)
 構造計算上の内部圧縮応力が小さい場合は、目標強度レベルを下げて目標強度を設定することは可能でしょうか?
<回答(5)>
 目標強度レベルは、内部圧縮応力だけでなく外力(土石流衝撃力、磨耗作用等)の影響も考慮し、使用部位の要求性能に合った品質(耐摩耗性、耐凍結融解性、剛性、耐衝撃性、重量、など)を確保するために設定されています。
<質問(6)> 設計(INSEM、ISM)
 標準的な単位セメント量で目標強度が得られない場合には、どの程度まで単位セメント量を増やすことが可能でしょうか?
<回答(6)>
 強度が得られにくい土砂を活用する場合には、単位セメント量を増やす方法のみではなく、砕石等を混合して粒度分布を調整したり、セメント系固化材を使用するなどの方法を含めて、対応策を検討する必要があります。
また、どうしても単位セメント量が過大になり経済性が悪くなる場合は、砂防ソイルセメント工法の適用性を再検討すべきと考えます。
どの程度単位セメント量を増やせるかについては、コンクリート工法とのコスト比較により決まります。
<質問(7)> 設計(INSEM)
 INSEM工法の場合、強度を確認する際、練混ぜ試験を行いますが、その際の水の量を決めることが難しく、決定するまでに時間がかかっている状況です。事例による結果を収集していただき、概算数値を出すことはできないでしょうか?
<回答(7)>
 配合設計における水量は、配合試験によって決まります。具体的には、経験的に土砂の最適含水比(Wopt)を中心に3点~5点試験含水比を決め、便覧P.15図-1.9のような図を求め、水量(含水比)を決めます。
<質問(8)> 設計(INSEM、ISM)
 外部保護材について、砂防ソイルセメント活用ガイドラインではt=100、50cmが規定されているが、この規定は現存しているのでしょうか?また、土石流衝撃の計算手法(袖部の検討)はメーカーに依存した計算方法でよいのでしょうか?
<回答(8)>
 砂防ソイルセメント活用ガイドラインには、現場打ちコンクリートを外部保護材として用いる場合について、参考値として示されています。
また、土石流衝撃の計算手法は、各堰堤工法の設計マニュアルに従います。
<質問(9)> 施工(INSEM、ISM)
 砂防堰堤の本体及び基礎部の採用において、湧水がある場合の施工対策はどのようにされているか教えてください。
<回答(9)>
 コンクリート工事の場合と同じ対策でよいと考えられます。
<質問(10)> 施工(INSEM)
 INSEM工法において雨天等で含水比が大きくなった場合はどのように対処したらよいでしょうか?
<回答(10)>
 INSEM工法においては、含水比の管理が重要となります。雨天施工時にも母材の含水比が大きく変化しないように、シートで覆うなどの母材の保管方法を検討します。
母材の含水比が所定の値より高い場合は、一般的には乾燥させて含水比を所定値まで下げてから使用します。
<質問(11)> 施工(INSEM、ISM)
 砂防ソイルセメント工法の施工において複数年施工となる場合、年度を跨いで施工期間が空いてしまう時の施工面の処理はどうすればよいでしょうか?
<回答(11)>
 出水時等における摩耗・洗掘や、凍害の影響による損傷を避けるため、シートや土砂で覆うなどの表面保護を検討します。また施工再開時には、通常の打継目処理(清掃・散水・セメント散布・モルタル敷、など)を行います。
<質問(12)> 施工(INSEM)
 敷均しについて、1層30cmで締固めを行うにあたり、15cm×2層で敷均しを行っている。敷均し、締固めとも1層30cmで実施して問題ないでしょうか?
また便覧P.89では小型振動ローラでの締固め層厚を30cm以下とされているが、1~3t級の振動ローラでは層厚30cmの締固めは困難ではないでしょうか?
<回答(12)>
 試験施工により締固め密度や強度に問題ないことが確認できれば、1層30cmで敷均しを実施しても問題はありません。また便覧P.89の表-4.5は、過去の施工実績を参考として示しているものです。
施工現場の状況や土砂の特性により、使用可能な重機や締固め特性は変化しますので、試験施工にて所定の締固めが可能であることを確認してください。
<質問(13)> 施工(INSEM)
 打継目処置について、過去に締固め1層ごとにモルタルを使用して施工した実績があるが、今後は便覧に記載されているとおり水のみでよいでしょうか?
<回答(13)>
 外部保護材を用いた工法が普及してきたこともあり、清掃・散水のみの処理でも構造物としての機能に支障はないと考えます。
<質問(14)> 施工(INSEM、ISM)
 便覧P.55の図-3.9によれば7日と28日強度は高い相関があるので、現場施工の省力化を考えると7日強度管理とならないでしょうか?
また上記に関連し、便覧P.53の表-3.7には(91)日強度が示されていますので、フライアッシュ等の強度発現が遅い固化材を使用してもよいでしょうか?
<回答(14)>
 試験施工時に7日と28日の相関関係が得られれば、7日強度での管理も可能です。また混合するセメントの種類は、一般的には高炉セメント(B種)が用いられますが、フライアッシュセメントやセメント系固化材等の使用実績もあります。
<質問(15)> 施工(INSEM)
 圧縮試験用の供試体(φ150)作製においては、Gmaxを50mm以下に下げて作製するが、この供試体で実際のINSEM(Gmax80~150mm)の強度管理を行ってよいのでしょうか?
また、施工現場ごとに締固め機械の大きさや種類が異なり、締固めのエネルギーが変わってきますが、品質管理用の供試体作製方法は全て同じでよいのでしょうか?
<回答(15)>
 試験施工によって、標準的に作製された供試体強度と、実際に使用する機械(施工方法)と使用する材料で施工された砂防ソイルセメントの現場コア強度との関係が確認されますので、標準的に作製された供試体を用いて品質管理を行うことに問題はありません。
(品質管理用の供試体作製方法は、試験施工時の供試体作製方法と同じでなければなりません。)
<質問(16)> 施工(INSEM、ISM)
 ソイルセメント施工時の密度管理に関してですが、配合設計時の標準供試体で強度を確認しているので、最低でも標準供試体以上の密度が現場品質管理では必要でははいかと考えます。
さらには、それを下回るようであれば現場密度にあわせた密度でテストピースを作成し品質管理する必要性が考えられます。
コアで施工現場での強度を確認できていれば安全かと考えられますが、現場によっては試験施工を待てないような小規模現場もあり、設計上の考えと品質管理上の考えは明確に分けて記載していただければと思います。
<回答(16)>
  まず密度管理に関して、設計時の単位体積重量(単位容積質量)は、施工時の材料や施工精度のバラつきも考慮し、一般に設計時の配合試験における標準供試体の単位体積重量(単位容積質量)の90%程度(INSEM)~95%程度(ISM)で決められています。
よって現場での品質管理では、標準供試体の単位体積重量(単位容積質量)以上ではなく、設計値以上を確保すればよいことになります。
具体的には、①施工時の配合試験において、標準供試体の単位体積重量(単位容積質量)が設計値を超えることを確認し、②施工時に単位体積重量(単位容積質量)が確実に設計値を超えるよう、密度管理幅を決めます。
<質問(17)>その他
 砂防ソイルセメント工法を用いた施設の維持管理、経年調査について留意点はありますか?
<回答(17)>
 一般的に砂防ソイルセメントはコンクリートに比べると耐摩耗性や耐凍結融解性が劣り耐久性が低いため、調査頻度を増やしたり、イベント(土石流、洪水等)発生後の調査を特に重点的に行う、などの工夫が必要です。

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