◆砂防ソイルセメントの概要
砂防ソイルセメントは、コンクリート材料と土砂材料の中間的材料であり、目的に応じて適切に配合を設定することにより幅広い適用が可能になる。具体的には、流動タイプ(ISM工法)や転圧タイプ(INSEM工法)等として開発されてきた。
◆砂防ソイルセメントの開発背景
一般に、砂防事業は山間部で実施されるため、従来の工法では掘削土処分費等の建設コストが増大するとともに、コンクリート等の建設材料運搬が制限され施工効率が低くなる傾向がある。さらに、掘削残土運搬時の騒音・振動や土捨場構築等は環境問題を生じさせる場合がある。
一方、砂防事業を推進する河川・渓流の河床砂礫は、良質であることが多く、これらを活用することは、環境面だけでなくコスト縮減面からも有効かつ重要であると考えられている。
このような背景の中、砂防施設の構築に掘削等で生じる現地発生土砂を有効活用できる工法の開発が望まれた。
◆砂防ソイルセメントの概念図
◆砂防施設及び付帯施設等における砂防ソイルセメントの適用性
◆砂防ソイルセメントの優位性
砂防ソイルセメントを活用した工法は、在来工法に対し以下のような有利性がある。
1.コンクリート工法との比較
①搬出土砂の減少:現地発生土砂を建設材料として使用するため、搬出土砂が減少し、運搬費・処分費等を縮減
②安全性の向上:市場性・汎用性の高い合理化・省人化施工であるため、危険箇所での作業が減少し安全性が向上
③コスト縮減:現地発生土砂使用による材料費の縮減と前述の搬出土砂減少により建設コストの縮減
④資源循環型社会への寄与:建設材料・土捨場の減少。建設・運搬機械の使用減少による騒音・振動・排気ガス抑制
2.盛土工との比較
①強度増加と安心度の向上:構造体の大幅な強度増加が見込め、地域住民の安心度が向上
②断面縮小:強度増加に伴い断面の縮小化
③現地発生土砂の使用用途の拡大:粘性土や有機物を含む土砂も使えることで現地発生土砂の用途が拡大
◆砂防ソイルセメント施工便覧(平成28年版)の発行
「砂防ソイルセメント活用ガイドライン」(平成14年、砂防ソイルセメント活用研究会編)、「砂防ソイルセメント設計・施工便覧」(平成23年、当センター発刊)を踏まえ、全国各地で砂防ソイルセメント工法が施工されることで得られた様々な知見も反映し、平成28年9月に「砂防ソイルセメント施工便覧(平成28年版)」を発行しています。本便覧は、主に現場施工において砂防ソイルセメント工法に要求される品質管理の方法を中心に記載していることから「砂防ソイルセメント施工便覧」と名称を改めております。砂防ソイルセメント工法を活用する上での現場技術者の判断の一助となれば幸いです。ご所望の方は書籍頒布(リンク)よりご注文ください。
〇便覧改訂のポイント(リンク)(機関誌sabo Vol.122)
◆砂防ソイルセメントに関する質問
砂防ソイルセメント・施工便覧への質問はこちらの問い合わせ受付フォーム(リンク)で受け付けています。
〇過去に受け付けた質問への回答(リンク)