平成29年度 砂防・地すべり技術センター講演会

 当センターでは、砂防を中心に多方面にわたる防災に関わる知見の周知を趣意として、平成14年より講演会を実施しています。

◇『平成29年度(一財)砂防・地すべり技術センター講演会』を開催しました。

  6月13日(火)、砂防会館別館シェーンバッハ砂防(東京都千代田区)において、『砂防・地すべり技術センター講演会』を開催致しました。 国土交通省・都道府県、公益法人・民間企業等より243名の方々にご参加いただきました。ここに改めてお礼申し上げます。

【開会挨拶】 (一財)砂防・地すべり技術センター 理事長  近藤 浩一
【来賓挨拶】 国土交通省 砂防部長  西山幸治 様
【講演1:「新たなステージ」に対応した防災気象情報の改善について】 株式会社富士通研究所  顧問 西出則武 様


(講演概要)
 気象庁では、雨の降り方等が変化している「新たなステージ」に対応して、大雨等の予測精度の向上や防災気象情報の改善が進められている。 平成29年度出水期から実施する改善として、①今後予測される雨量等や危険度の推移を時系列で提供し、危険度を色分けして図表の形で提供すること、②「警報級の現象になる可能性」の提供、③メッシュ情報の充実、利用促進を行うことが挙げられる。メッシュ情報により災害発生の危険度の高まりを評価する技術として、「土壌雨量指数」、「表面雨量指数」、「流域雨量指数」等を導入し、大雨警報(浸水害)、洪水警報、大雨特別警報等の改善や危険度分布の提供を実施する。 これら防災気象情報の改善よって、警報がより適切な防災行動に結びつくようになることが期待される。
【講演2:災害被災地域の小学生を対象とした防災教育】 熊本大学大学院先端科学研究部 准教授 竹内裕希子 様


(講演概要)
 防災教育は、起こりうる災害のリスクを想定し、自らの身を守る事を目的として実施するもので、反射的な行動だけではなく、「緊急時の行動、災害のメカニズム、平常時の行動、復旧・復興時の行動」等を組み合わせた、計画的・論理的な防災教育を実施していく事が重要である。 特に学校における防災教育は、多数の児童・生徒に対し、継続的に実施されることで長期的に幅広い世代の人々の防災に関する知識の獲得につながることが注目されている。こうした状況を踏まえ、繰り返し災害が発生した地域である阿蘇市内の内牧小学校を対象として、災害に対応できる能力を養う防災教育を実施した。 その結果、防災教育を通して災害に関する知識を深めることができたほか、児童自身が地域住民と協力しながら取り組むことで、児童や家族の自負となり、防災意識の向上へと繋がることが防災教育の効果として表れた。
【講演3:北海道の土砂災害】 北海道大学大学院 農学研究院 国土保全学研究室 特任教授 小山内信智 様


(講演概要)
 北海道は、本州と比較すると土砂災害の性質が少し異なり、活火山が多いことに加え積雪地域であるため、融雪型火山泥流の発生が想定されることが特徴的で、十勝岳での大正泥流や平成12年の有珠山噴火による熱泥流などが発生している。 平成12年に発生した有珠山噴火では、市街地まで熱泥流が流下したが、昭和52年噴火後に整備された砂防施設の効果により、熱泥流の氾濫範囲を縮小し、その後の復興期間の短縮に寄与した。このように緊急ソフト対策として、避難支援のための情報提供を行うだけでなく、ハード対策として恒久対策施設を整備することで、減災の実効性を高めることが可能になる。 また、北海道は全国平均に比べ雨の少ない地域であるが、2014年9月の支笏湖周辺での豪雨災害や2016年8月の台風10号による豪雨災害など、近年、平年値を大きく上回る降雨により土砂災害が発生している。特に台風10号による豪雨災害では、既往の砂防施設が十分に効果を発揮したが、それでもなお下流河川区間で被害が生じていた。そのため、今後、北海道の地域特性や気象条件の変化を踏まえた有効な砂防施設整備のあり方を検討していく必要がある。
【閉会挨拶】 (一財)砂防・地すべり技術センター 専務理事 大野 宏之
当日の会場の様子

■ 過去の砂防・地すべり技術センター講演会 実施概要

令和1年度 砂防・地すべり技術センター講演会の開催案内
平成28年度 砂防・地すべり技術センター講演会の概要

PAGE TOP