技術指導

◆技術指導

当センターでは、民間機関等からの委託に応じて、砂防施設や地すべり防止対策等に関する技術指導や助言を行っています。

◇これまでに実施した技術指導
これまでに実施した技術指導について、過去5年間の技術指導の実績を以下に示す。

(1)砂防構造物に関する技術指導

年度
(平成)
指導題目
指導者

指導内容

29

長井川砂防堰堤改良工事業務委託に関する技術指導
砂防技術研究所
嶋(丈)
利根川水系砂防事務所管内の長井川砂防堰堤の断面増厚の工事に加えて,流木捕捉機能を付加することとなった。
この堰堤は満砂状態であり、上流堆砂敷が安定していることから、本体の天端高を変更させず流木捕捉機能を付加する方法として、水通し天端より上流側に流木止めを配置する張り出しタイプの計画捕捉流木量及び設計外力の考え方や計算方法について指導を行った。

29

片品・吾妻川流域砂防堰堤予備設計業務に関する技術指導
砂防技術研究所
嶋(丈)
利根川水系砂防事務所管内の片品・吾妻川流域の不透過型砂防堰堤に流木捕捉機能を付加することとなった。
この堰堤は未満砂状態であるが、堆砂面の河床勾配は緩い。そこで、本体の天端高を変更させず流木捕捉機能を付加する方法として、水通し天端より上流側に流木止めを配置する張り出しタイプについて、未満砂状態で設置する場合の留意事項を(土石流荷重,本堤との接続方法)について指導を行った。

29

鋼製砂防構造物に関する調査
砂防技術研究所
嶋(丈)
 土石流や流木をより確実に捕捉するために必要な施設配置計画や施設構造・部材の配置等の最適化を図るために必要となる基礎データの収集を目的として次の2つの調査を砂防鋼構造物研究会と当センターの共同で実施している。
1つ目は腐食に対して最も厳しいとされる火山地帯に設置した曝露供試体並びに鋼製透過型砂防堰堤実物における腐食進行状況の経年変化観測に関する調査であり、2つ目は鋼製透過型砂防堰堤が設置されている現場における土石流流下状況の観測を行うためのモニタリング観測に関する調査である。
これらの調査について、設置している観測機器のメンテナンスや継続的なモニタリング観測を実施し、調査方法や観測データの取りまとめについて技術指導を行った。

28

酸性河川に設置する鋼製透過型堰堤の構造に関する技術指導
砂防技術研究所
嶋(丈)
 鋼製砂防構造物はpH4以下の酸性河川においては別途腐食対策を施すことで使用できることになっている。これまでの事例から酸性河川に設置された鋼製透過型砂防堰堤の対策は、主に常時流水が接する柱部材の底版埋込み部近傍にコンクリートを巻き、流水に直接触れないようにしている。しかし、コンクリートは特に耐酸性材料ではないため、根本的な酸性対策ではない。また、巻かれたコンクリートの厚さによっては開口部が狭くなり、透過型堰堤の流水及び土砂の通過を抑止することにもなり、巨礫の衝突により破損する可能性も考えられる。T型スリットは底版コンクリートに加え、袖部にも支点反力をとる3辺固定の構造となっていが、袖部の2辺で支持する構造に改良することで、従来の酸性河川対策の問題点を回避できる。
そこで、構造上の安全性及び土砂捕捉性能について指導を行った。

27

加勢蛇川砂防堰堤技術指導
砂防技術研究所
嶋(丈)
 本調査は、鳥取県にある大山の東斜面に源を発する加勢蛇川に対して、砂防堰堤構造形式について技術指導を行ったものである。
対象地は常時流水があり、川幅が比較的狭く両岸は切り立っている。現場条件を考慮した設計では現地発生土を有効利用した経済的な砂防ソイルセメント堰堤を採用していたが、袖部貫入が困難であったため袖部対策工を実施する計画としていた。
そこで、現地調査結果等をもとに構造体の確認を行い、袖部対策工については国土交通省の「事務連絡」に則った検証を実施したほか、常時流水等に対する留意事項を整理した。

26

熊野地区河道閉塞対策に関する技術指導
砂防技術研究所
池田
 平成23年9月台風12号に伴う豪雨によって和歌山県熊野地区で発生した深層崩壊・河道閉塞において、緊急対策工として鋼製続枠構造の排水路(床固工・流路工)が整備されたが、その後の出水によって中詰め材の流出や鋼製部材の破損が発生している。
そこで、本案件では、当該施設の補強対策工と本施設全体の安定対策工(河道閉塞部法面保護工・床固工袖の延伸等)に関する技術指導を実施した。
床固工・流路工における落下水・流水による破損を防止するためには、①コンクリート張工を設置する、②床固工下流法面における整備範囲は越流水の流下範囲とする、③流路工における整備範囲は計画流量の流下断面に余裕高を考慮した範囲とするものとした。
また、④床固工袖部延伸は、全12基のうち、基幹となる4基のみを対象として地山まで延伸することを指導した。

26

格子形鋼製堰堤の改良に関する技術指導
砂防技術研究所
嶋(丈)
 平成26年7月9日に長野県木曽郡南木曽町梨子沢で土石流が発生し、頭角砂防堰堤が土砂を捕捉したが、その際に構造の一部が損傷した。損傷した点を踏まえて、本技術指導においては今後、設計する格子形-2000Cに対して、下記の点を指導した。
①全ての現場においてボルトの設計余裕率を従来の1.5倍とする。
②外力条件が厳しい現場ではボルトの本数を24本とする。
上記点を改良することで、継手部の強度が上がり構造体の強度と安定性が増すほか、ボルト本数を増やすことで設計余裕率の向上にも繋がり、また構造体のバランスも良くなると判断される。

26

鋼製スリットダムB型の構造に関する技術指導
砂防技術研究所
嶋(丈)
 鋼製スリットダムB型は平成元年に開発され、これまでに捕捉事例を含む900基程度の設置事例があり、国内で最も実績の多い鋼製透過型砂防堰堤の1つである。『土石流対策技術指針(平成19年度)』並びに『鋼製砂防構造物設計便覧(平成21年)』が改訂されたことを踏まえ、今後設計するB型の高さや構造体の安全性、機能部材の取付構造に関する技術指導を実施した。
構造照査により、高さは所定の機能が確保できていることが確認されたほか、下部に設けられた斜材は施設規模・設計外力から必要に応じて合理的に配置されているので、機能上、問題無いことを確認した。また、全体変形から局部変形への移行や機能部材も実績等により妥当と判断され、問題無いことを確認した。

26

東小倉川の砂防堰堤に関する技術指導
砂防技術研究所
嶋(丈)
 熊本県阿蘇市東小倉川を対象とした砂防激甚災害対策特別緊急工事において、設計比較検討結果より鋼製透過型砂防堰堤の鋼製スリットダムB型が選定された。B型は7.5m以下で実績の多いタイプであるが、本案件では8.5mを対象とするため、構造体の強度及び安定性について着目し指導した。
構造照査により、高さは所定の機能が確保できていることが確認されたほか、構造計算書等を確認したが、特に問題は見られなかった。また、全体変形から局部変形への移行についても、これまでの土砂の捕捉実績などを考慮しても妥当であると判断される。ただし、近年の災害教訓から8.0m以上のB型については構造上の安全性を配慮し、上部に斜材を設置することが望ましいといった点を指摘した。

25

音江川砂防工事基礎設計に関する技術指導
砂防技術研究所
嶋(丈)
 音江川では堰堤高10mの透過型砂防堰堤を計画されている中、地質調査で被圧地下水が確認された。周辺では井戸利用が見られたが、地下水の遮断は考えられず通常の荷重条件と異なることから、設計条件等に関する技術指導を行った。
本案件では、揚圧力が作用するため荷重条件に揚圧力を加えて検討を行い、使用される鋼製透過型堰堤の機能を整理して、本堤・副堤・水叩き・側壁護岸等々の各構造物に対し条件を整理した上で、構造物の検討を実施した。

(2)砂防計画に関する技術指導

年度
(平成)
指導題目
指導者

指導内容

28

北海道駒ヶ岳における融雪型火山泥流数値シミュレーションに関する技術指導
総合防災部 菊井
 北海道駒ヶ岳において、土石流及び融雪型火山泥流を対象に砂原工区、森町工区において泥流調整地を基幹施設とする砂防施設の整備が進められているが、平成4年度に策定された火山砂防基本計画から約24年が経過し、基本となる地形データの精向上に加え、砂防や治山等の設備整備も進められていることから、現在計画されている泥流調整地、導流堤等の位置、範囲等について氾濫シミュレーションにより検証が行われている。
このような経緯から、検証に用いている氾濫シミュレーション(J-SAS)の適用範囲及び施設の効果評価について最新のシミュレーション技術を踏まえて技術指導を受けるよう委託者側から要請されたため、シミュレーション結果に対する見解と計画施設の検討手法等について技術指導を行ったものである。

26

柳瀬地区杉山沢の砂防設計に関する技術指導
砂防技術研究所
嶋(丈)
 本技術指導は長野県小谷村柳瀬地区杉山沢を対象に、砂防堰堤の施設配置計画に関する指導を行った。施設配置計画を検討する際の留意事項として、下記4点を確認した。
①不安定土砂の制御。
②施工条件。
③地元要望に対する施設規模。
④豪雨時の斜面崩壊。
上記点を踏まえて、下記の点を指導した。
・不安定土砂を制御する施設を変更する。
・施工条件の良い上流側で可能な限り土砂捕捉量を確保し、民家から見る砂防堰堤については施設規模の縮小を図り圧迫感を減らす。
・対象地区は地すべり防止区域であることから、地すべり対策として床固工で浸食を抑え、斜面に対しては流木発生抑止工を兼ねた斜面対策工により土砂及び流木の生産制御を図る。

26

来馬地区の砂防設計に関する技術指導
砂防技術研究所
嶋(丈)
 本技術指導は長野県小谷村来馬地区を対象に、砂防堰堤の施設配置計画に関する指導を行った。
対象地区は土石流危険渓流および土砂災害防止法における特別警戒区域となっていることから、全体的に地下水位が高い傾向にあり、豪雨時に上昇すると斜面崩壊を引き起こす懸念がある。
そこで、本案件では上・下流域で計画している施設を対象に指導を行った。指導内容は下記の通りである。
・上流域の透過型砂防堰堤はできるだけ開口幅を広くとり、下流側への影響を考えて、洗掘対策を実施する。
・一方、下流側は民家直上流であることから、袖部からの越流に留意し、土石流フェンス等で袖部兼導流堤を配置することで、土石流発生時に水通し側へ誘導する。
・透過部は通常時、袖部に流水がまわる危険性が無いことから砂防ソイルセメントを用いた人工地山とすることで非越流部と一体構造となり、掘削土の削減や施工期間の短縮を図る。

26

白骨隧通し右岸斜面対策工に関する技術指導
砂防部
安田
 本技術指導では、対象となる崩壊斜面周辺の状況及び配慮事項(特別天然記念物、温泉泉源)に対する検討がなされ、これらを考慮した対策工法が選択されていること、類似実績の調査により対策工法の実現性についても検討が行われていることを確認した。安定解析手法については厚さが変化する擁壁に対し、適宜、照査断面を設定し安定性の評価を行っているほか、地震時の解析については一般的に斜面対策工で用いられる設計荷重の考え方を適用していること等を確認した。
その上で、タイロッド反力体を施工する地盤は地質区分S1に施工予定であるが、施工時に設計条件を満足できる地盤物性が確保されていることを確認すると共に、施工等に関する技術指導を実施した。

(3)警戒避難に関する技術指導

年度
(平成)
指導題目
指導者

指導内容

25

タイ国土砂災害関係予警報に関する技術指導
砂防技術研究所
田村
 本技術指導は、タイ国における土砂災害の実態や土砂災害関係予警報システムの現状を、タイ国関係機関へのヒアリング等によって調査し、タイ国水資源局(DWR:Department of Water Resources)が整備している予警報システム(Early Warning System) について、システムの改善に関する技術的提案をとりまとめた。
とりまとめた技術的提案の観点は、①警報基準の精度向上、②地象現象に基づくアラートの発信、③源流流域や山の上での降雨観測実施、④レーダ解析雨量計の実用化に向けた取り組み、⑤土石流や泥流の氾濫堆積範囲の調査、の5項目である。

(4)地すべりに関する技術指導

年度
(平成)
指導題目
指導者

指導内容

30

芋川地すべり対策事業における工事誌の取りまとめ方に関する技術指導
斜面保全部 綱木・相楽
 本技術指導は、芋川地区直轄地すべり対策事業の取りまとめの過程で必要となる、地すべり観測・解析等の方針に対する技術指導を実施したものである。
芋川地区直轄地すべり対策事業の取りまとめは、被災から復興までの道のりを取りまとめる「記念誌」と、地すべり対策事業を技術的な視点から取りまとめる「技術記録集」があり、文章や図表の体裁を確認する他、これまで実施された地すべり対策事業の経緯について、両誌の取りまとめ方を指導した。
更に、「技術記録集」では、過去に開催された検討委員会の取りまとめ方にについて設置趣意書の引用方法等を指導した。

30

早雲山地すべり対策工事に関する技術指導
斜面保全部 綱木
 本技術指導は、「早雲山 拡大域① 北側ブロック」において実施する地質調査業務より得られたボーリングコアから、アンカー支持層の確認観察を行うことを目的として実施した。
観察対象のBV2-7は、表層付近から基岩のCL~CM級のデイサイトが確認され、GL-47mまで連続した状態が確認された。
すべり面相当層はGL-15.5mであったが、調査結果ではGL-15.25~15.45mに脱色化した脆弱部層が確認され、本層がすべり面となりうる可能性が高いことを指摘した(技術指導①)。
また、アンカーの想定定着部付近である、GL-29m付近は既往報告による風化度分類では「W3相当層」に属すると判断され、想定深度でのアンカー定着部では十分な支持力を得ることが出来ると判断した(技術指導②)。
以上の2点の技術指導結果については、書面にて神奈川県に報告した。

27

大規模地すべり地における調査・観測計画に関する技術指導
斜面保全部 綱木・相楽
 本調査は、福島県西会津町の滝坂地すべりをモデル地区として、別途実施される地すべり調査・観測結果に対する技術指導を実施したものである。
既に設置されている観測計器によるデータの取得状況とその精度に対する評価とともに、今後の対策効果評価時に必要となる観測計器の選定結果の妥当性について検証した。
さらに、本地区で計画されている監視体制案について、地すべり機構や既往の対策効果を勘案した修正案等についての指導を行った。

25

野母崎亜熱帯植物園地すべり対策に関する技術指導
斜面保全部 綱木・相楽
 本技術指導は長崎県長崎市脇岬町の野母崎亜熱帯植物園地区に関して、別途実施される地すべり調査・対策検討結果に対する技術指導を実施したものである。
現在も活動中である当該地すべりのボーリング調査結果、観測データ分析結果に対する評価とともに、今後の調査計画の妥当性について検証した。
さらに、当地区地すべりで計画されている対策計画案について、地すべり機構や既往の対策効果を勘案した修正案等についても指導した。

(5)ソイルセメントに関する技術指導

年度
(平成)
指導題目
指導者

指導内容

28

十勝幹線No.211鉄塔D脚基礎部土砂流出に伴う調査・対策工事に対する技術指導
砂防技術研究所
嶋(丈)
 昨年の北海道における豪雨の影響で,南富良野の送電線の鉄塔の基礎部が侵食され安定性が損なわれた事例があった。この鉄塔の安定性を保持するため,砂防ソイルセメント侵食された箇所を埋め戻すこととした。
しかし,現地は冬期に入るため,配合設計をはじめとする準備期間を設けることが困難で,現地で手配できる土砂も制約があった。
そこで,現地で調達できる土砂に対して適切なセメント添加量及び現地状況を踏まえた含水比など,現地土砂の性状を考慮した砂防ソイルセメントの配合について指導を行った。

28

流動ソイルセメントの試験施工に関する技術指導
砂防技術研究所
嶋(丈)
 長野県下高井郡山ノ内町横湯川(長野県北信建設事務所)において流動性ソイルセメントの試験施工が実施された。横湯川は資材運搬の困難さから,河床の大礫を有効活用すべき現場である。流動性ソイルセメントの施工事例は少なく,試験施工時は豪雪で砂防ソイルセメントの施工に極めて厳しい環境であった。今回の試験施工は冬期(氷点下)で施工したため,余剰水が多いと直ちに凍結融解による品質劣化が顕在化する。
そこで,流動性ソイルセメントの品質確保の妥当性を評価するため施工現場で指導を行った。

25

鶴島土地改良事業土留ダム(INSEM)施工基本検討調査に関する技術指導
砂防技術研究所
嶋(丈)
 鶴島土地改良区では砂防ソイルセメント工法を使って、堰堤53mの土留工を施工中である。本技術指導では、この砂防ソイルセメントの品質管理について技術指導を行った。
この技術指導は平成19年度から実施しており、昨年度、新たに委員会で決定した基準値の改訂を受け、施工が実施されている。本年度は良質な土砂が現地へ持ち込まれていることから、品質管理が所定の目標強度をクリアし、施工品質・施工量ともに安定している。
ある程度の知見がある現場であることから、データを蓄積することへの重要性を指導した。
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