令和元年度 (一財)砂防・地すべり技術センター講演会

 当センターでは、砂防を中心に多方面にわたる防災に関わる知見の周知を趣意として、平成14年より講演会を実施しています。

◇『令和元年度(一財)砂防・地すべり技術センター講演会』を開催しました。

  6月18日(火)、砂防会館別館シェーンバッハ砂防(東京都千代田区)において、『砂防・地すべり技術センター講演会』を開催致しました。 国土交通省・都道府県、公益法人・民間企業等より374名の方々にご参加いただきました。ここに改めてお礼申し上げます。

【開会挨拶】 (一財)砂防・地すべり技術センター 理事長  南 哲行
【来賓挨拶】 国土交通省 水管理・国土保全局砂防部 保全課長 岡本 敦 様
【講演1:土砂災害を巡る災害情報の論点】 東京大学総合防災情報研究センター センター長 田中 淳 様


(講演概要)
 災害情報は、切迫感をどのように伝えるのか、またどのように行動に結び付けていくのか、が大きな課題である。これまで様々な災害を契機に、情報の整理や制度の充実が図られてきた。しかし、情報の受け止め方には個人差が見られ、避難情報が防災行動や避難行動に結びつかなかった事例もみられた。
 平成30年度から、住民が「自らの命は自らが守る」ための避難行動が容易にとれるよう、防災情報を5段階の警戒レベルで提供するなどの取り組みが行われている。今後、実際の避難行動に結びつくようにするため、情報発信の工夫や、土砂災害の発生情報の把握、それによる情報精度の向上などが必要である。
【講演2:最近の土砂災害をふまえた施設整備の課題と取り組み】 国土交通省水管理・国土保全局砂防部 保全課 土砂災害対策室長 蒲原 潤一 様


(講演概要)
 平成30年度は土砂災害が多い年で、特に平成30年7月豪雨では、複数の斜面・渓流から同時多発的に土砂が流出し、河床上昇・河道閉塞させた。この影響で河川の土砂・洪水氾濫が発生し、市街地に土砂が広く堆積したことで、地域の社会経済や円滑な避難・救助活動、復旧を阻害するなど、甚大な影響を及ぼした。
 平成30年7月豪雨を契機に、「防災・減災・国土強靭化のための3か年緊急対策」が閣議決定されたことを踏まえ、国土交通省では、今後重点的に取り組むべき対策として、砂防分野として中小河川における土砂・洪水氾濫等の危険性に関する緊急対策など6項目の施策を実施するほか、事業間連携が必要な砂防事業や、優先度の高い大規模な砂防事業に対する補助事業制度を新たに創設した。また、平成30年7月豪雨では、約7割が小規模渓流であったため、現場状況に応じた適切な施設整備も図ってまいりたい。
【講演3:平成30年7月豪雨 復旧・復興の現場から】 国土交通省中国地方整備局広島西部山系砂防事務所長 熊澤 至朗 様


(講演概要)
 広島県は、過去から多数の土砂災害を繰り返しており、平成30年7月豪雨では土砂災害1,242件・死者87名という甚大な被害が発生した。
 国土交通省では、平成30年7月豪雨への対応として、TEC-FORCE等の派遣し、緊急調査、土砂撤去、道路啓開作業が行われた。甚大な被害のあった広島県内の9地区20箇所に於いては、監視カメラやワイヤーネットの設置などの直轄砂防災害関連緊急事業を実施した。現在は、応急対応後の第二段階として、全545箇所(R1.5時点)で緊急工事が進められている。
 また、平成30年7月豪雨を受けて、今年度より広島西部山系砂防事務所が設置された。当事務所では、災害対応に加え、通常砂防事業、土砂・洪水氾濫対策のハード対策や、避難訓練、防災教育などのソフト対策について、職員39名体制でこれらの事業を推進してゆく。
【講演4:土砂・洪水氾濫対策の考え方】 (一財)砂防・地すべり技術センター企画部  課長代理 五十嵐 勇気


(講演概要)
 土砂・洪水氾濫は、上流からの土砂流出に伴う河床上昇により引き起こされる。近年の発生事例では、記録的豪雨により同時多発的に斜面崩壊・土石流が発生し、河道への細粒分を多く含む大量の土砂流出が起因となっている。土砂・洪水氾濫の氾濫区域は、河床勾配1/30(2°)未満の場所まで及び、市街地に土砂が広く堆積するため、ライフライン等への直接的な被害に加え,円滑な避難の阻害や復旧への障害となる等の影響がある。
 土砂・洪水氾濫対策としては、下流河道の許容流砂量まで土砂量、土砂濃度を下げ、河道から溢れさせず安全に流下させられるよう、保全対象上流で効率的に細粒分を多く含む土砂、流木を捕捉するための砂防施設を設けることが必要である。前述の機能を有する砂防施設は,砂防堰堤や遊砂地工,渓流保全工といった施設がある。遊砂地工の最適な構造を検討するためには、数値計算と水理模型実験を組み合わせた検討が望ましいものの、過去の事例や水理模型実験結果等を収集・蓄積し、一般化する取り組みも必要と考えられる。
【閉会挨拶】 (一財)砂防・地すべり技術センター 理事 綱木 亮介
当日の会場の様子

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平成29年度 (一財)砂防・地すべり技術センター講演会の概要
平成28年度 (一財)砂防・地すべり技術センター講演会の概要

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