流木対策への取り組み

    流木は水に浮いて流下して氾濫末端まで届くため土砂災害の被害を拡大させ、また、河道の狭窄部や橋梁等で閉塞し氾濫の要因となることもあります。当センターでは、新たな流木捕捉工や流木被害を想定するための数値シミュレーションの開発を行っております。

1.新たな流木捕捉工に関する取り組み
    従来のコンクリート不透過型砂防堰堤では、堰上げのため流木全量の捕捉は難しいことが知られています。一方、土石流対策の鋼製透過型砂防堰堤は効率的に土砂と水を分離するため開口部を広くしており、流木もよく捕捉します。流木で閉塞されて土石流を捕捉した事例においても後続の細粒土砂まで捕捉しており、掃流区間では流木対策構造物の高さ以上に捕捉していることもあります。 鋼製透過型砂防堰堤は、流木対策として効果の高い施設です。

(1)張り出しタイプの流木捕捉工の開発
  不透過型砂防堰堤を越流する流木を本副堰堤間で捕捉する構造を検討し、水理模型実験でその効果を検証(平成30年度砂防学会研究発表会概要集V-032、p.115-116)し、スクリーン型流木捕捉工「流木スクリーン」(特許第6840340号)を開発しました。「張出しタイプ流木捕捉工設計の手引き」は、学識者・本省砂防部・国総研・土研とともに研究会を設けて検討を重ね、2020年3月に発刊いたしました。流木対策のより一層の推進にお役にたてることを目指しています。ご所望の方は書籍頒布(リンク)よりご注文ください。
   〇手引きのポイントはこちらを参照下さい(機関誌sabo Vol.128)
   〇手引きへの質問はこちらの問い合わせ受付フォーム(リンク)で受け付けています。

(2)いろいろな鋼製砂防堰堤とその捕捉効果
砂防鋼構造物研究会のHPに多数の事例が掲載されております。 →砂防鋼構造物研究会HP(外部リンク)

2.数値シミュレーションによる流木閉塞の被害想定
    流木がもたらす被害について、これまで水理模型実験や粒子法による数値シミュレーションが行われていますが、橋梁付近のみを対象としたものが多く、上流から下流まで一連に再現して被害を推定するプログラムが少ない状況にあります。当センターでは従来の一次元河床変動計算に追加する形で、流木が橋梁で閉塞し水位が上昇する過程を再現するためのプログラムを開発しました。
  流木の閉塞による被害想定 一次元河床変動計算への組み込み(機関誌sabo Vol.133)

3.流木に対応した指針・マニュアル等の改定に関する取り組み
    鋼製透過型砂防堰堤に関する研究も継続して行い、この成果を「新編・鋼製砂防構造物設計便覧<令和3年版>」として2021(令和3)年に発刊しています。流木捕捉工を計画、設計する場合にご活用ください。書籍頒布(リンク)より注文を受け付けております。改定のポイントはこちらで紹介しています(機関誌sabo Vol.130)
    また、2016年4月の「砂防基本計画策定指針(土石流・流木対策編)」、「土石流・流木対策設計技術指針」の改定を受け、 当センターでは、2016年10月24日に土石流・流木対策の技術指針に関する講習会を行ったほか、「砂防基本計画策定指針および土石流・流木対策設計技術指針に基づく計画・設計事例の解説(第2版)」「同(第3版)」を作成し公開しております。
土石流・流木対策の技術指針に関する講習会(2016.10.24開催)(計画・設計事例の解説(第3版))

4.参考図書:海外の事例紹介
○流木対策-実務入門- (Wildholz- Praxisleitfaden-)の和訳文献の作成 ヨーロッパアルプス周辺諸国における流木対策の実務に関する手引き書として、 インタープリベント事務局が作成した「Wildholz-Praxisleitfaden-」について、 STCが和訳・校正した文献「流木入門-実務入門-」を掲載しております。
流木対策-実務入門- (Wildholz- Praxisleitfaden-)の紹介
– 流木対策-実務入門- (PDF)
– Wildholz- Praxisleitfaden- (原文) (interpraevent_HPより)

メニュー

PAGE TOP